先日テレビを見ていたら、ニュース番組の特集コーナーで、アナウンサーがこんな表現をしていました。
「この料理は塩の“えんみ”がしっかり効いています」
その瞬間、思わずツッコミました。
「いや、普通に“しおあじ”って言えばいいじゃん!」
普段の会話で「えんみ」なんてまず聞かない。なのにテレビでは時々耳にする。
この“しおあじ・えんみ問題”が気になって仕方なかったので、調べて考えてみました。
“しおあじ”と“えんみ”、どっちも正しい
まず結論から言うと、読み方としてはどっちも正しいです。
- しおあじ:料理や日常で使う表現。「このスープ、塩味(しおあじ)が効いてる」
- えんみ:学術的・専門的に使う表現。「味覚には甘味・酸味・苦味・塩味(えんみ)がある」
つまり「家庭やグルメ番組」なら“しおあじ”。「理科の教科書や研究」なら“えんみ”。
使い分けがあるわけです。
テレビ食レポで「えんみ」を使う理由
では、なぜ食レポでわざわざ「えんみ」と言う人がいるのでしょうか?
考えられる理由は大きく2つ。
1. 専門っぽさを出したい
「えんみ」と言うと、評論家や栄養学の先生みたいな響きになります。
でも正直なところ、あれは「伝えたい」よりも「自分わかってますよ感」を出したいだけなんじゃないか、とぼくは思ってます。
だって普通に「しおあじ」でいいはずなのに、わざわざ「えんみ」と言うのって、まるで大学の講義を始めたみたいな堅さありません?
視聴者にわかりやすく伝えるより、「オレは食の知識ありますよ」ってマウントを取りにいってるようにも聞こえるんですよね。
これ、言葉の選択というより“キャラづくり”の一環に近い気がします。
2. アナウンサー文化の影響
もう一つはアナウンサー文化。
局アナ出身の人って、とにかく「正しい日本語」に敏感です。
教科書に載っている表現やNHK的に認められた言葉を優先するから、塩味は「しおあじ」じゃなく「えんみ」と読むほうが安全だ、と。
だから、「生活者の耳に自然かどうか」よりも「言葉として正しいかどうか」で選んでるんだと思います。
でもそれって、情報番組やニュースならともかく、食レポではかえって堅苦しくなっちゃうんですよね。
視聴者目線だとどっちが自然?
正直、視聴者としては「しおあじ」のほうが自然です。
- 「このラーメン、しおあじが効いててうまい!」
→ すっと耳に入ってくる - 「このラーメン、えんみが効いててうまい!」
→ 急に理科っぽくて違和感
食レポの役割は「視聴者に味を想像させること」。その意味では、日常感覚に近い「しおあじ」が圧倒的にわかりやすいと思います。
まとめ:場の空気に合わせて使い分ければいい
「しおあじ」も「えんみ」も正解。
ただ、食レポのように“おいしさを伝える場”では「しおあじ」が自然。
逆に「味覚の5分類」や「学術的な説明」なら「えんみ」が正しい。
つまり、場の空気に合わせて使い分ければいいという話です。
個人的には、やっぱり食レポは断然「しおあじ派」!ですね。