マウントをとるためにマンガを読むようになっていた。
そう気づいたのは、テレビでやっていた最新マンガランキングというコーナーがキッカケだ。
そのコーナーはマンガ編集者たちが今オススメしたいマンガを発表するというもので、これから流行るかもしれない9作品を取り上げていた。
このコーナーをたまたま観ていたぼくは「これは全部読まなきゃな」ととっさに思い、画面に映し出されたランキングをスマホで撮っておいた。
番組終了後、さっき撮った写真を見返しながらどれから読もうか考えている時にあることに気づいた。
発表された9作品のうち、実際におもしろそうだと思った作品が2個しかないのだ。
ではなぜテレビを観ていた時は「全部読まなきゃいけない」と思ったのか?
実はその答えには薄々気づいていた。
ぼくはマンガのおもしろさより、それを読むことで人にマウントをとりたいのだ。
なので興味がない作品でも反射的に読まなきゃいけないと思ったのだろう。
これから流行るかもしれないマンガを押さえておきたい。
読んでない人にそのマンガを教えることで優越感に浸りたい。
マンガ通としてチヤホヤされたい。
それらがぼくがマンガを読む理由だ。
人にマウントをとるためにマンガを読む。
なぜそんな動機でマンガを読むようになったのか?
それはぼくが他人に劣等感を抱くようになったからだと思う。
子供の頃は、おもしろいという理由だけでマンガを読んでいた。
その時はまだ自分に自信を持っていて、他人の事なんて気にしていなかったはずだ。
しかし、成長していくうちに他人と比べるようになり、人より劣っている部分を見つけると自信を無くし劣等感を抱くようになっていった。
ただ、劣等感は持っているけど負けたくないという気持ちもある。
そこで自分でも勝てそうなマンガを読むという分野で人に勝ってマウントをとる事にしたのだろう。
マンガを読んでとれるマウントなんてたかが知れている。
それでもとれるマウントはとっておきたいのだ。
おもしろそうだから読むというのが前向きな理由だとするなら、マウントをとりたいというのは後ろ向きな理由だろう。
両者を比べると後ろ向きの方が不純に見えるけど、ぼくはこの理由を悪いものだとは思わない。
なぜなら、理由は後ろ向きでも結果的にぼくを動かす原動力になっているからだ。
たとえどんな理由であっても新しい物に興味を持つことはいい事だし、行動しないよりはマシだとぼくは思う。
そんな風に自分を肯定しながら、人にマウントをとるためにこれからもマンガを読んでいきたい。